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パクリ、オマージュ、ジョークの線引き -ONIHITODEの件で-

はてなブログでONIHITODEというテーマが公開されて、ちょっとした議論を巻き起こしてテーマ自体が非公開になるという事案が発生しました。

自分もすべては把握していないですが、ざっくりとした流れとしては

①ONIHITODEというテーマが公開される
②「オシャレだ!」「かっこいい!」と話題になる
③Wordpressの有料テーマSANGOのパクリでは?という指摘がなされる
④炎上→非公開(削除?)

大体こんな感じかと思います。

skyfish25.hatenablog.com

自分は当事者ではないのですが、別ブログでSANGOを実際に使用していること、はてなブログでブログを書いていること、デザインに関する仕事をしていること、本件に関して宇宙魚(id:skyfish25)さんの記事に自分のツイートが引用されたことで反響があったことなどを総合して自分の考えをまとめてみようと思いました。
テーマが非公開となったことで一応の決着をみていますが、今後同様のことが起こった時にどうすればよいのか、それぞれが考えるキッカケになれば幸いです。

パクリなのかそうでないのか

前提としてソースコードやCSSをコピーして改変したりすること。これは明確にパクリですよね。このことに関してはぼくは検証した訳ではないですし、そうした技術も持ち合わせていませんので真意のほどは分かりません。
一方で現在のトレンドとして「マテリアルデザイン」がwebデザインの一つの主流になっているという事実があります。これに関してはSANGO、ONIHITODE両方に共通するデザインのベースです。

では本当にONIHITODEはSANDOをパクったのか?

それは作った本人にしかわかりません。

しかし「似てるぞ」という意見が多数寄せられたことからもパクリではないのか?という疑惑をもたれる理由となっています。

実はこの手の話はデザイン業界ではけっこうよくある話で、みなさんがよくご存知の話に「東京オリンピックのエンブレム盗作問題」があります。

これもデザイナー側はパクった意図は無く、偶然似てしまっただけだと記者会見まで開きましたが、結局騒動は収まらず決定していたエンブレム自体が廃案になりました。

パクリだパクリではないという話はきっと作った本人でないと真相を語ることはできないし、たまたま似てしまった可能性も現時点では捨てきれない。

そして非公開(削除)された所をみても今後作者の口から真相が語られることは無いのではないでしょうか。

では、パクりかどうかの議論は一旦置いておいて本件の問題の本質は何か。
別の視点で整理していきます。

オマージュとは呼べないか

まず「ONIHITODEはSANGOのオマージュではないのか?」という仮説を立てました。

オマージュ(仏: hommage)は、芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。

オマージュ – Wikipedia

同じような意味の言葉で「ファンアート」と呼ばれるものがあります。これは実際のマンガやアニメ、小説などのファンがオリジナルのストーリーとは別の物語やイラストを創作することを指します。同人誌といったおなじみの文化もファンアートにカテゴライズされると言っていいと思います。

これらの創作活動はすでにれっきとした文化として認知されており、オマージュやファンアートとして二次創作物が生み出されたことによってオリジナル作品の新たな魅力が発見されたり、再評価されるキッカケになることも少なくありません。

オリジナルに影響を受けて二次的な創作をする行為自体は、以下の条件をクリアしていれば特に問題は無いのではないかと考えます。

オマージュ、ファンアートが成立する条件

  • 作家に対する尊敬(リスペクト)の念がある
  • オリジナルの作者もそれを歓迎もしくは看過できる

明確なガイドラインはないにせよ、概ねこのような感じかと。
ここにONIHITODE最大の過失があります。
SANGOの作者であるcatnoseさんはtwitterで「怒っている」と発言されています。
この点においてONIHITODEはオマージュやファンアートとは呼べません。
現に原作者は看過できないとしているためです。

明白な悪意

この件で個人的に一番気になったのが「リスペクトの欠如」です。
それはONIHITODEというネーミングから見て取れます。
オニヒトデというのはサンゴの天敵で、サンゴ食べてしまう生物なのだそうです。
「パクリかどうかは分からない」と前述しましたが、ONIHITODEの作者はその名前を付ける際、SANGOを明確に意識していると想像できます。

こともあろうかSANGOの補食者であるONIHITODEという名前を付けた。
あきらかにオリジナルへのリスペクトを欠いた行為であり、悪意を感じました。
ジョークだとしても全く笑えません。

見た目を似せ、自ら天敵を名乗る。
まるでオリジナルを毀損するかのようなスタンスとも受け取れます。
みなさんも同じ立場だったらスルーできますか?
これは想像ですが、名前がONIHITODEでなければここまで炎上していないと思います。

最終ジャッジは「ユーザーのモラル」


もうこの一言にすべて集約されてしまうのですが、残念ながらこうした問題はいたるところで起こっています。
漫画村という海賊版サイトしかり。

(悪意があっても)便利だからとかタダだからとか、かかっこいいからといって安易に使用しないことが大切かと。
こうした問題で最優先されるべきは『オリジナルの作者の想いを汲み取ること』なのではないかと思います。
知らないうちに使ってしまった人には罪はありません。
しかしこうした問題が明らかになったとき、
問われるのは法的な白黒よりもっと以前に「自らのモラル」です。

常に考え、自分の答えを持って判断していきたいですね。

2 Comments

einhander1341

ありがとうございます。宇宙魚さん共々、厚く御礼を申し上げます。
僕も自らの罪を数えて今日を生きたいと思います。
パクリそのものに関しては、100%罪ではありません。しかし、これはビジネスの手法においてのみ許される問題であり、パクリが100%罪であるのならば、ジェネリック医薬品やPB食品は全て叩かれる対象となるでしょう。
あなた様ならびに僕自身が追求したいのは、知的財産のパクリが許せないということです。
もちろんブログテーマやコードには知的財産、つまり著作権が絡みます。
これをきっかけに著作権について皆様が勉強されることを切に祈っております。
重ね重ね、ありがとうございます。

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BigHopeClasic

埋め込みツイートの中にモラルと著作権について書かれていましたので、それについてコメントすると、この件の著作権については、ソースコードについては別論として、少なくともデザインについては、過去の裁判例から言っても、侵害はかなりの確率で認められない(つまりシロ)だと思います。
ここで「シロ」というのは、「パクリの否定」を意味しません。むしろ著作権は「パクリは文化の進歩のために必要」という立場です(だから、長いと言われつつも著作者の死後50年で権利が消滅する)。
ただ、ルールを決めずにパクリ放題だと、創作のインセンティブが消失してしまうから、そのインセンティブが消えない範囲内で、先行する、オリジナリティのある表現を保護する、ということを法制度として決めているにすぎないのであって、だからパクリが即著作権を侵害するわけではない。
で、この問題については「著作権は表現を保護するのであってアイディアは保護しない」という著作権法の原則が問題になります。
具体的には、「著作権が保護するのは最終的に表出した表現そのもの」であって「その表現を着想するにいたったアイディア」は保護されない、ということです。
なぜかというと、アイディアを保護してしまうと、保護の範囲があまりにも広くなりすぎて、かえって創作活動が促進されなくなってしまうからです。
なので、著作権の保護は、具体的な表現について与えられ、その表現のもととなったアイディアについては及びません。
そこで今回の2つのテーマを比較すると、アイディアのレベルでは似ているように私も思いますけれど、少なくとも過去の裁判例で裁判所が判断してきた基準で考えると、表現としての類似はおそらく認められないのではないかなあと。
ただ、私はこの件問題でないとは思っていなくて、このテーマにONIHITODEなんて名前をつけなければなんの問題もなく終わった(少なくともSANGOサイドに立つ人からの批判は大きく減らせた)と思っています。
つまり、何かというと、モラル、というよりは、敬意の問題ですね、このネーミングによってその部分を大いに欠いてしまった。
そんなネーミングしなければ、多分今回の件、SANGOに似ているという主張に対して、大きな共感が集まることもなかったでしょう(繰り返しますがソースコードの問題は別です)。
この件に関しては、少なくともデザインについては著作権は問題になりえません。なので、それを材料にするのはかえって悪手です、と、ある程度著作権を勉強した私は思います。
それよりも、モラルの件一点で非難していい、そういう案件だと思っています。

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