弊社の仕事の中でたまに「単色(1色刷り)のチラシデザイン」というものがあります。新聞の折込広告とかでみたことありませんか?

こういうやつです。1色のインクで印刷されているタイプの広告。
通常、紙のデザインの場合はフルカラーだとCMYKという4色のインク(4枚の版)使うので、豊かな色彩表現ができる一方、当然コストもかかります。
そこで「印刷にかかるコストを下げよう!」という流れになるのですが、モノクロだと見た目的にどうしても暗い印象になったりしますよね。
そこで登場するのが「単色刷り(1色刷り)」です。普通の印刷屋さんでも対応してくれます。あまり詳しくないですが同人誌とかの世界でもよく用いられているようです
- インクを一色しか使わないのでコストが安い
- モノクロに比べて目立たせることができる
単色刷りの場合は原稿データ作る際に「モノクロ(グレースケール)で入稿しなければいけない」という制約がある場合がほとんど。
さらにそれがクライアントワークだとなおさらで、お客さんは「青でって言ったけど、やっぱ赤にするわ」みたいな事を平気でおっしゃいますから、いちいちカンプ(見本)をカラーデータで作ってたら死にます。
こうした作業を楽にするためにIllustrator(イラストレーター)を使って単色印刷の仕上がりを簡単に確認する方法を紹介します。
- モノクロ作ったデータの色を簡単に1色刷りに変えられる
- 仕上がり色をすぐに確認でき簡単

あまり出番は多くないかもしれませんが、簡単にできるので覚えておいてください!
ちなみにAdobeCCは通信講座を受講することですることで社会人でも学割価格で購入することができます。もちろん商用利用も可!定価より3万円以上安く購入できるのでおすすめです。
詳細は以下の記事をどうぞ
モノクロデータを単色カラーに変換する方法
今回用意した原稿はこちらです。以前作成したポスターっぽいもの

データを選択してグループ化
作成したデータをすべて選択してグループ化します。

原稿をすべて覆う形で上に塗り(刷り色)を乗せます(マゼンタ/100%にしました)


原稿と背景色を両方選択して透明のメニューから「不透明マスクを作成」をクリックします。


不透明マスクメニューの「マスクを反転」にチェックを入れます

これでグレースケールを“擬似的に”単色印刷で再現できます。
元データの黒の部分が一番濃いピンク(マゼンタ)に置き換わった状態になります。後はそのインクの濃淡で再現されています。もちろん家庭のプリンターで印刷して仕上がりを確認できます。
色を変えたい場合も簡単

もちろん色を変えるのも簡単です。
- 不透明マスクを解除
- 刷り色を変更
- 上記STEP4~5
この手順で任意のカラーに変更することができます。
補足:刷り色は必ず1色で指定しよう
単色印刷ですので当然刷り色は1色になります。CMYKのそれぞれ100%が基本になります。
- 緑(青+黄色)
- 紫(赤+青)
のように2色以上の色が混ざったものはNGです。
そのような場合は特色インクを使います(スポットカラーとも言います)
特色とはあらかじめ調合されたインクのことで、たくさん種類がありますので、「ちょっと青みが強い紫」のような微妙なニュアンスのものとか、パステルカラーのような淡い色、ゴールドや蛍光カラーなんていうものまで。
特色(DICカラー)に変更する際の手順
【スウォッチ】→【スウォッチライブラリを開く】→【カラーブック】→【DICカラーガイド】と進む


ここでズラッと並んだのがDICという会社が用意しているインクの色。それぞれ番号が付いていますので、この番号を指定して印刷屋さんに入稿すればOKです。※詳細は印刷所に問合せを。

特色を使うことでCMYKの4色以外にも様々な色で単色刷りを実現することができます。かなり見た目の印象も違いますね!
で、このデータを家のプリンターで印刷しても「CMYKの4色を使い色を再現した」にすぎないので、実際のDICカラーとは異なりますから少し注意が必要。
単色の場合にはくれぐれも「濃い色」を指定するのが鉄則。
うすい色を指定すると全体がモヤッとするのでおすすめできません。見本帳で実際の刷り上がりを確認すると間違いないですね。こういうものもあります。
応用編
この不透明マスクを使えば一発でグラデーションをかける事もできます。
やり方は上記と同じ。マスクをかける色をグラデーションカラーにするだけです。


モノクロで元データを作ってしまえば簡単に色味を変換することができますね!
一般の方はなかなか紙ベースのデザインを印刷屋さんに入稿する機会は少ないかと思いますが、デザイナーの皆さんはぜひ覚えておいて損はないと思います!
どれくらいの人に需要があるかは謎ですが、お役に立てば幸いです!
社内の印刷でさっそくこの技を使わせていただきました。ありがとうございます。うまくできました!