「腐ったペンをつかうな」
これは初めて就職したデザイン事務所で先輩に言われた言葉です。当時の自分はお金もなく、100均で3本100円みたいななんだかよくわからないメーカーのボールペンを使っていました。
それから約10年。確かボーナスをいただいた時だったと思いますが、冒頭の一言を思い出し「いいペン欲しいな」と思い立ち万年筆を購入しようと決意しました。
今回は普段から愛用している[プラチナ万年筆/#3776センチュリー]という万年筆を紹介します。ぼくのような初心者にとっても扱いやすく、万年筆という筆記具の魅力を教えてくれる確かな一本。オススメです。
万年筆を愛用するということ
万年筆というペンはとても「趣味性」が強いものです。もちろんボールペンでも代用可能。また価格も「字を書く」という用途だけを考えれば高いです。
しかしその魅力は書き味と所有欲を満たしてくれる点。稚拙な表現ですが、「なんだか大人になった」感じがします。
例えば出先で署名をする時、仕事でお客様にサインを求める時、内ポケットから万年筆を取り出すだけで「なんか大人」。
しかしその価格や手入れが面倒と言ったイメージから敷居が高いと思われがちなのも事実ですが、一度触ってみてほしいです。(お店で試し書きさせてもらうだけでも)ボールペンでは味わえない独特の書き味。サラサラと滑らかに紙の上を走るペン先に満足感を味わえるはずです。
国産の万年筆三大メーカーのエントリーモデル
最初の万年筆はどれを買おうか。値段はいくらくらいか。最初の一本を買うにあたって色々と調べました。その結果、初心者は国内メーカーのものがおすすめという記述を見つけ、それに習うことに。各メーカーとも長い歴史があり、愛用者も多いことから安心感があります。
というわけで国内の万年筆メーカーの代表的な3社の定番のエントリーモデルの中で選ぶことにしました。3本とも定価はおよそ1万円くらいの価格帯です。
ネット通販だと1~2割程度安く買うことができます。
パイロット/カスタム74
「跳ね、払い、押さえ 日本の文字に合わせた書き味」を掲げるパイロットの定番がカスタム74です。極細字から超極太字まで11種類ものペン先がラインナップされており、好みの線に出会えるかと思います。
セーラー/プロフィットスタンダード
頑なに守るセーラーの伝統と技術、手に馴染む柔和なフォルム。プロフィットの原点がここに。 時代を超越したしなやかな書き味にもスタンダードの誇りが生きています。 ペン先(14金)・金属パーツには24金メッキを施し、金色らしい輝きを強調。 キャップの二重リングは風格さえ漂わせ、さらに高級感を表現しています。
セーラー万年筆公式HPより抜粋
プラチナ/#3776センチュリー
名称は、日本最高峰の品質を目指し、富士山の標高を表わす数字にちなんでつけられました。ベースになった万年筆は、昭和53年、作家で万年筆コレクターの、故梅田晴夫氏が中心とする研究グループとともに「理想の万年筆」を目 指して開発したプラチナ#3776。梅田氏は30年間、月平均180 枚の原稿を万年筆で筆記し、1,000 本にも及ぶ万年筆コレクションの中から導き出した条件を実現させた万年筆です。
プラチナ万年筆公式HPより抜粋
上記3本の万年筆の中から選んだのがこの#3776センチュリーというモデルです。3本とも見た目、価格はほとんど変わらないのですが、この#3776には他の2本にはない大きな特徴があります。それが購入の決め手となりました。
従来の万年筆の弱点を克服した「スリップシール機構」
万年筆の敷居の高さに「手入れが面倒」という点が挙げられます。というのも万年筆はペン先のインクが乾いてくると目詰まりしてしまい書けなくなるんですね。キャップを閉めていても中の気圧の変化などから、インクがペン先から出てしまい、そのままにしておくと乾いて目づまりをおこしてしまいます。
特にインクの粒子が大きい顔料インクを使用すると、定期的に洗浄などのメンテナンスをしないと書けなくなってしまうことも。これは非常に面倒くさいですね。
ということでなんとかこのインクの乾きを防ぐことはできないかと開発されたのが「スリップシール機構」(特許取得の独自技術)です。
これを簡単に説明しますと、キャップの先端、ペン先が当たる部分にバネ式のパーツが仕込まれています。これにより、キャップを閉めた際にペン先がキャップに密着し、インク漏れを防ぐことに成功したというもの。
目詰まりしやすく手入れが必須だった顔料インクもこれまでに比べ、気軽に使うことができるようになったという画期的な機構です(※全く手入れ不要というわけではないので、定期的にメンテナンスを。)
とくに自分のような初心者にとってはすごくありがたいなと思いました。面倒なこと、難しいこと抜きで使うことができるので「もうコレしか無い」ということで。
結果的にすごく満足しています。
ペン先の太さは?
万年筆は用途に合わせてペン先が複数ラインナップされています。
#3776の場合は超極細、極細、細字、細軟、中字、太字、極太があります。
注意したいのは「各メーカーによって微妙に太さが違う」という点です。
特に海外メーカーの〈細字〉は国産メーカーの〈中字〉くらいある。なんてこともあるそうなので、思っていた太さと違った!ということにならないように、お店で実物を見て購入するのが一番安心かと思います。(お願いすれば試し書きさせてくれるお店もたくさんあります)
ぼくの場合は用途としては毎日の筆記。加えて手帳や小さいメモなどにもオールラウンドに使えるものがいいかなと思ったので、〈細字〉を購入しました。太さは0.5mmのボールペンくらいでしょうか?ご参考までに。0.7mmのボールペンと比較してみましたが、万年筆の方が若干細めといった印象です。
#3776「細字(F)」とジェットストリーム0.7mmのボールペンとの比較
こんな感じです。細めなので手帳に書き込むのにもストレスを感じさせません。あまり細かい字を書くのが得意ではないですが、小さい字もつぶれずに書き込めると思います。
注)ご覧のとおり、万年筆を買ったからといって字が上手になるわけではございません。
インク沼にご注意されたし
さて、万年筆にハマると次に訪れるのが「インク沼」。これは日々自分好みのインクを探し求めて彷徨い続けて腰までどっぷり万年筆インクに浸かってしまう状態を指します(実際は浸かっていない)
万年筆のインクは使い切りの「カートリッジ」と好きなインクを詰めて使う「コンバーター」があります。
基本的にカートリッジはメーカー純正のものを使うのですが、コンバータを使うとどんなインクでも使用することができます。
つまり組み合わせは無限大。終わりの無い旅。恐ろしい恐ろしい。
試しに【インク沼で検索】するとそのマニアックな世界の一端を垣間みることができるでしょう。幸い自分はカートリッジ使用で踏みとどまっていますが、コンバータを買った瞬間にヤバいことになりそうな予感がして手を出していませんw
ほら、こんなに綺麗なインクがいっぱいあるんだよ?
実はもう一本欲しくなって来ている。
先ほどの試し書きの写真でもお分かりの通り、ぼくが購入した#3776はシャルトルブルーという軸がブルーのタイプ。これはこれですごく綺麗なのですが、最近「やっぱ黒欲しいな。」という思いがわき上がって来ています。
通称「仏壇」と呼ばれる黒×ゴールドのこれぞ万年筆!みたいなルックス。
か、かっこいい・・・
「細字買ったし、中字もいるよね!?」と自分を納得させる動機をなるべくたくさん探している最中です。(中字を買ったら細字との比較レビュー書くという動機を今見つけた)
【2017.3/30追記】買いました。
さいごに
ペン一本に1万円なんて昔は考えられなかったんですが、1本買ってしまうとやはりその魅力は人一人をいとも簡単に沼に引きずり込む破壊力を持っています。
事実、一冊丸ごと万年筆を紹介したムック本なども発売されていますし、愛好家も多い。手入れして大事にすれば長く使うことができます。ぜひその書き味を一度試してもらいたいです。すごく楽しいですよ!
また、プレゼントにもピッタリです。自分ではなかなか買えない値段なので、特に社会人になられた方や、大学に入学・卒業される方なんかには最適なプレゼントだと思います。
今回紹介したエントリーモデルよりももっと気軽に万年筆を楽しみたい!というニーズに応えて、こんな商品もあります。材質などは廉価版といった感じで、高級感はありませんが「万年筆ってこういうもの」というのは感じてもらえるのではないでしょうか。
職業柄、パソコンばかりで手書きで文字を書く機会はそれほど多くはないですが、万年筆を滑らせ書く文字は鉛筆やボールペンでは味わえない心地よさ。
文字通り筆舌に尽くし難い。
万年筆沼にハマる瀬戸際で皆さんをお待ちしています。
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